三都花街めぐり
玉の井
向島区寺島町字玉の井。 市内浅草雷門から玉の井行といふ乗合自動車があつて約十五分間、東武線は雷門駅から四ツ目の玉の井駅下車、駅から約一丁。 京成電車も亦曳船駅から玉の井支線を分岐し、花街のすぐ後ろへ吐き出してくれる。...
京都
春は花、いざ見にごんせ東山、色香あらそふ夜ざくらや…… と、京の郷土民謡である「京の四季」に唄はれるとほり、京の春の歓楽は祇園の夜ざくらからはじまる。 「祇園さんの花が咲いた』と、花信一たび伝はつては、もう京の人たちの心は落ちついては居なかつた。...
祇園新地
四条通りの東端円山公園の麓、京都駅より東北二十二三町、自動車賃一円。 市街電車は「祇園石段下」又は「四条縄手」下車。 京阪電車は「四条」の停留場最も近く、京津電車ならば終点(三条)下車、縄手通を真直に南へ四五町。...
先斗町
加茂川の西涯、三条大橋と四条大橋との間の一廓。 此の間は自動車が入らない。 電車は「西条小橋」の停留場が最も近く、四条大橋(東口)で降りても只橋一つを渡るだけのこと、但北寄りは「三条木屋町」に降りる方が近い。...
木屋町・下河原
木屋町は先斗町と同じ加茂川べりで、先斗町とは三条通りを隔てゝ北に連る一廓、電車は「木屋町三条」は降りて北へ入るか、「木屋町二条」から南へ入る。 京阪或ひは京津電車は三条大橋を渡つて同小橋の袂から北へ這入つてゆく。 下河原は洛東円山公園につゞいた高台寺の附近。...
宮川町
加茂川の東岸、四条大橋と五条大橋の中間所謂「宮川町」なる一廓で、北は四条通に接し、南は五条通につゞき、東は五山の随一たる建仁寺に隣つてゐる。 京都駅からは烏丸通を北へ、五条通を東へ、五条大橋を渡れば直に本廓の南端に出る。 市街電車ならば「河原町五条」或ひは「四条大橋」下車、京阪電軌ならば四条停留場に降りるのが一番近い。...
島原
市街の西南端にして七条通北寄り、市街電車『島原口」下車西へ真直に約三町。 省線(山陰本線)は丹波口駅下車、京都駅から一・二哩、五分間、賃五銭、汽車は殆んど島原遊廓に横附の態である。 祇園・島原・撞木町……と謳はれて、どんなお上りさんでも島原の名を知らぬ者はなく、また国さの土産話に島原を見ないで帰るものも少からう。...
中書島
省線ならば奈良線の「桃山駅」下車、電車ならば京阪電車の「伏見中書島」同じく「伏見」停留場(大手筋)、奈良電車の「桃山御陵前」、又は京都市街電車伏見線の「中書島」等に下車する。 京都中央部から二十分、奈良市から四十分、大阪市から約一時間で到達する。 京阪地方酔客の間に、一種特別な情趣とカラアを有つた歌吹郷として、中書島(チユウショジマ)の名は知られてゐる。...
大阪花街総記
大阪名物、船に、橋、お城……と。 大阪はもともと水を中心として建設された市街で、道幅は狭い川幅はひろく、淀川の分流安治川を大通りとして縦横に溝渠を通じ、川は即ち通路で、むかしは五座の芝居見物にも役者の楽屋入りにも、多くは屋形船で往来したものであつた。 さうした風流は今日は最早ほろびた代り安治川の大通りはダンダン延長されて、瀬戸内海を経て四国に通じ九州に通じ、支那に通じ、アメリカに通じてゐる。...
大阪花娼辞典
芸妓及び家形 芸妓のことをゲイコ又はゲイコシといひ、小芸妓のことをマイコ(舞妓)といふ。 「家形」は館の当字であらう、芸妓屋即ち芸妓の居る家のことである。...