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七、見番開きの新曲 第七章 余録
七、見番開きの新曲
白山三業株式会社現在の事務所は、大正十三年七月二十五日新築落成式を挙行したのであるが当日白山芸妓組合連中の出演した『新曲甲子の里』は島田支配人の作詞かゝるものであるが、作詩は左の通りである。
『新曲甲子の里」
作詩 島田天涯
作曲 柞屋勝太郎
調 田中佐次郎
振附 花柳輔蔵
『富士筑波霞の幕のすきま見る、花の都の甲子の方
『眺め気高き権現の、山の化粧も白々と、未だ解けぬ間の白山に、移し植えたる柳腰
『十うに三ツの若盛り、芽ぐむ情にほだされてさす口紅も寒牡丹、胸の炎に解けかゝる、うれし涙に水増して、中をへだての小石川、波に砕くる宵の月、明けてうれしき朝もやに、春の模様を棚引けどヽ
『柳桜や山吹と、ありし御殿の花の香に、舞出る蝶の一群や
『実に豊なる舞の袖、風情を添へて指ヶ谷に、設けの舞台揚幕や、御代万歳を寿ぎて、勝り芽出度き此里を永久にたゝへてまひおさむ。